脳血管内治療科は脳、頚部、脊髄の血管性疾患を血管の中からカテーテルを用いて治療する診療科です。
血管内治療は通常、足の付け根の血管にシースと呼ばれるチューブを挿入し、その中を通して3mmのほどのガイディングカテーテル、さらにその中に1mm弱の非常に細いマイクロカテーテル通し、病変部に到達して治療をおこないます。
当科では患者さんにとって最も良い治療法の選択肢のひとつとして血管内治療を提供します。
当院は低侵襲だけではなく、安全、確実な治療も目指しています。血管内治療と外科的治療のどちらが適しているかについては脳神経外科カンファレンスで検討し、個々の患者さんに対してテーラーメイドな治療が提供できることを目指しています。
脳血管内治療科
受診される皆様へ
かかりつけ医の先生方へ
従来の開頭術などと比べ、低侵襲で治療をおこなうことが可能であり、患者さんの入院期間短縮や早期社会復帰などが可能です。
- 脳動脈瘤
- 内頚動脈狭窄症
- 鎖骨下動脈狭窄症
- 急性期脳梗塞(脳主幹動脈閉塞症)
- 脳動静脈奇形
- 硬膜動静脈瘻
その他にも髄膜腫などの術前腫瘍塞栓術、頭蓋内主幹動脈狭窄症などがあります。
診療内容
脳動脈瘤
瘤内コイル塞栓術
動脈瘤内にプラチナコイルを留置することで動脈瘤の破裂を予防します。
くも膜下出血の原因は8〜9割が破裂脳動脈瘤ですが、破裂脳動脈瘤に対しても血管内治療は有用であり、ISATやBRATといった世界的研究でも証明されています。治療成績向上や早期社会復帰に役立っています。
くも膜下出血の原因は8〜9割が破裂脳動脈瘤ですが、破裂脳動脈瘤に対しても血管内治療は有用であり、ISATやBRATといった世界的研究でも証明されています。治療成績向上や早期社会復帰に役立っています。
未破裂脳動脈瘤に対しても低侵襲であることから広く普及し、安全な手術手技が確立されています。一般的には全身麻酔でおこないますが、局所麻酔でも可能なため、全身麻酔のリスクが高い患者さんでも治療可能です。手術時間は動脈瘤の大きさにもよりますが3時間程度で、約1週間で退院できます。
ただし、再発(コイルが圧縮され瘤内に血流が再開通してしまう)に関しては、開頭術に劣ります。特に大型のもの、動脈瘤頚部の広いものなどは再発リスクが高くなります。
内頚動脈狭窄症
頚動脈ステント留置術
心筋梗塞に対するカテーテルを用いた風船治療(経皮的冠動脈形成術)と同じ要領で、血管の中から風船(バルーン)付きのカテーテルを用いて狭窄部位を拡張し、そこにステントという金属でできた網目状の筒を留置する治療です。
一般的には局所麻酔で2時間程度の治療です。足の付け根からカテーテルを挿入し、細くなった血管を風船で広げて、ステントを留置します。
治療器具の発展とともに、治療成績も向上し、最近の研究では従来からの頚動脈内膜剥離術と比較してもほぼ同等の治療成績が期待できるようになってきました。
ただし、非常にプラークが大きいものや血管の石灰化が高度なものなどは不向きです。
一般的には局所麻酔で2時間程度の治療です。足の付け根からカテーテルを挿入し、細くなった血管を風船で広げて、ステントを留置します。
治療器具の発展とともに、治療成績も向上し、最近の研究では従来からの頚動脈内膜剥離術と比較してもほぼ同等の治療成績が期待できるようになってきました。
ただし、非常にプラークが大きいものや血管の石灰化が高度なものなどは不向きです。
急性期脳梗塞
発症4.5時間以内の脳梗塞に対してはtPA静注による血栓溶解療法が有効ですが、脳梗塞の中でも心原性塞栓症などによる主幹動脈閉塞は血栓量が多く、tPA静注だけでは再開通が得られないことがあります。
主幹動脈閉塞に対する血管内治療による血栓回収術の有効性は近年数多く報告され、tPA静注療法に引き続き血管内治療をおこなうことが全世界のスタンダードになりました。
主幹動脈閉塞に対する血管内治療による血栓回収術の有効性は近年数多く報告され、tPA静注療法に引き続き血管内治療をおこなうことが全世界のスタンダードになりました。
”Time is Brain"と言われるように一刻を争う治療ですので、当院では神経内科、救急科との共同治療体制が構築すでにされており、できるだけ迅速に治療を受けてもらうことができます。
外来医師担当表
スタッフ紹介
-
脳神経外科部長 兼 脊椎脊髄外科部長亀井 裕介(カメイ ユウスケ)
平成3年医学部卒業
認定資格
・日本脳神経外科学会専門医/指導医
・日本脊髄外科学会認定医
・日本体育協会スポーツドクター
・日本脳卒中外科学会技術指導医
-
脳血管内治療科部長佐野 貴則(サノ タカノリ)
平成14年医学部卒業
認定資格
日本脳神経外科学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医 指導医
日本脳卒中の外科学会技術認定医
-
医長寺島 美生(テラシマ ミオ)
平成21年医学部卒業
認定資格
・日本脳神経外科学会専門医/指導医
・日本脳卒中学会専門医
・MMC新医師臨床研修指導医
-
黒田 祐輔(クロダ ユウスケ)
平成29年医学部卒業
認定資格
日本脳神経外科学会専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
日本脊髄外科学会認定医
-
和田 南美(ワダ ナミ)
令和4年医学部卒業
-
救命救急センター長 兼 救急・集中治療科部長山本 章貴(ヤマモト アキタカ)
平成9年医学部卒業
認定資格
・日本救急医学会専門医/指導医
・日本脳神経外科学会専門医
・日本集中治療医学会専門医
・日本脳神経血管内治療学会専門医
・日本DMAT隊員(統括DMAT)
・JPTECインストラクター
・MMC新医師臨床研修指導医
・三重大学医学部臨床教授