ロボット手術センター

ロボット手術センター

当院では、ロボット手術センターを設置しています。

ごあいさつ

尾嶋 英紀

ロボット手術センター長尾嶋 英紀

手術支援ロボットの導入について

 当院は、県立の医療機関として、三重県における高度・専門的な医療をけん引する役目を担ってきました。特に、手術については、鏡視下手術等を積極的に取り入れるなど低侵襲手術(※)の推進に取り組んでまいりました。

 日本では2018年4月より、手術支援ロボットを用いた手術において、これまでの泌尿器科手術以外の、食道がん、胃がん、直腸がん、子宮がん、肺がんなど12領域の手術にも保険適用が拡大され、全国での手術件数が大きく増加しています。当院においても2019 年5 月に手術支援ロボットを導入しました。

 なお、手術支援ロボットの導入については、三重県北勢地域の病院では初めて、三重県内では三重大学医学部附属病院(津市)、伊勢赤十字病院(伊勢市)に次いで3 番目の導入となります。

 ※低侵襲手術…患者様の身体への負担をできるだけ少なくした手術


関連ページ

  2019年5月12日に開催された導入披露式の様子です。

手術支援ロボットの特長

 手術支援ロボットを導入することで、従来の腹(胸)腔鏡下手術の弱点である鉗子動作の制限や二次元視野における操作などといった問題点を克服できるので、より安定した精度の高い手術を実施できる可能性があります。その事により、手術を受けられる患者様の身体への負担を軽減し、術後回復がより早く、入院期間の短縮が可能かもしれません。私たちが大切にしている早期社会復帰の一助となることが期待されます。

安心安全なロボット支援手術のために

 ロボット支援手術を行う場合には、事前にロボット手術センターにて十分な検討を行い、高難度新規医療技術評価部の審議を経て、慎重に着実に進めております。

 ロボット支援手術を行う医師は、規定のトレーニングを受講して認定資格を取得する必要があり、導入する病院としても腹(胸)腔鏡手術の実績などの条件を満たす必要があります。手術支援ロボットのシミュレーター機能による手技の確認を十分に実施し、安全な手術のためのトレーニングを院内で行っております。

 また、新規術式の導入に際しては、手術支援ロボットのメーカー技術者やプロクターと呼ばれる指導医の立会いの下、学会等の指針に則り、手術を行っております。さらに手術支援ロボット自体を安全に使用し続けることができるよう、日頃から臨床工学技士が術前と術後に必ず点検を行う、手術室スタッフを固定して意思の疎通を図りやすくする等、医師のみならず他職種を含むチームを編成し専門的な意見を交えて質の高い手術を提供すべく、病院全体で取り組んでいます。

ロボット手術の今後の展望

 手術支援ロボットを活用した手術は、まだ道半ばであり、その潜在能力・可能性は大きいと考えられます。今後、AIの活用等、新たな概念の導入や、技術革新により、多種多様なデバイスが開発され、安心安全、確実な手術に進化していくと思われます。

 その途上にある今大切なことは、全く新しいテクノロジーであるロボット支援手術を安全に導入し日常診療の一環として取り込んでいき、更なる進化への礎としていくことと考えています。当院としましては、引き続き術者の医師だけではなく、看護師や臨床工学技士その他関係職種のスタッフとの連携の下、患者様へより安心且つ低侵襲な手術ができるよう努めてまいります。

手術支援ロボットについて

 手術支援ロボットの仕組みや特長について紹介いたします。

手術支援ロボットとはどんな「ロボット」?

 当院が導入した手術支援ロボットは米国intuitive社製で、三つのパーツから成り、術者が座って手術操作をする「サージョンコンソール」、手術のベッドサイドで実際にカメラと3本のアームを動かす「ペイシェントカート」、この両者をつないで画像をサージョンコンソールや周辺のモニター・録画装置に送り、術者からの指令をペイシェントカートに伝える「ビジョンカート」があります。

 術者は操作用のコンソールに座り、拡大された3Dのハイビジョンの画面を見ながら、カメラと3本のアームを、手足を使って操作します。ロボットが自分の意思で勝手に手術をすることはありません。

  • ペイシェントカート

  • ビジョンカート

  • サージョンコンソール

手術支援ロボットで手術はどう変わるのか

 これまでの手術では腹や胸を大きく切って、手を入れて施術する「開腹手術」「開胸手術」が多く行われてきました。開腹手術や開胸手術では手術による傷跡が大きく残ったり、傷が回復するのに時間がかかったりすることがありました。

 そこで、これら手術による傷の大きさを最小限に抑え、術後回復時間を短くできる「腹腔鏡手術」や「胸腔鏡手術」が登場しました。これらでは腹や胸に複数の小さい穴を開け、カメラ(内視鏡)と鉗子や尖刀等をその穴から腹部に入れて手術を行います。

 しかし、これらは助手が持つ内視鏡カメラで見える二次元モニターの中で、関節のない棒状の器具を駆使して、患部を切ったり縫ったりするため、長時間にわたる特有のトレーニングを必要とする難易度の高い手術となります。

 そのため、登場したのが手術支援ロボットです。当院が導入した手術支援ロボットでは、アームの先端にある関節により、自由度が高く理想的な向きでの施術が可能で、さらに3D で立体視できるカメラシステム、手ぶれ防止機能などの技術によって、難易度の高い腹腔鏡手術、胸腔鏡手術をより正確・確実にとり行うことが可能になります。

ロボット手術センターの業務案内

業務内容

 ・ ロボット手術の高難度新規医療技術評価部への申請

 ・ 関係各科が参加した症例の事前審議

 ・ ロボット支援手術日程の各科間の調整

 ・ 執刀医資格取得のための研修・見学の申し込み

 ・ 医師間のトレーニングの調整と種々専用デバイスの発注

 ・ プロクターの派遣要請

 ・ 関連予算の執行

対応疾患

 当院にて対応可能な手術・疾患の詳細につきましては各診療科にお問い合わせください。

スタッフ

尾嶋 英紀

ロボット手術センター長尾嶋 英紀 (オジマ エイキ)

平成9年医学部卒業

認定資格

・日本外科学会専門医/指導医
・日本消化器外科学会専門医/指導医/消化器がん外科治療認定医
・日本大腸肛門病学会専門医
・日本消化器病学会専門医
・日本内視鏡外科学会消化器・一般外科技術認定医(大腸)
・日本がん治療認定医機構がん治療認定医/暫定教育医
・臨床研修指導医
・日本臨床腫瘍学会暫定指導医
・インテュイティブサージカル合同会社da Vinci Certificate(Console Surgeon)
・日本ロボット外科学会国内B級専門医
・日本内視鏡外科学会ロボット支援手術プロクター(直腸)

鈴木 仁之

ロボット手術センター副センター長鈴木 仁之 (スズキ ヒトシ)

昭和63年医学部卒業

認定資格

・日本外科学会専門医/指導医
・日本胸部外科学会指導医
・心臓血管外科専門医/修練指導者
・呼吸器外科専門医、日本呼吸器外科学会評議員
・臨床研修指導医
・三重大学医学部臨床教授/医学博士

ロボット手術センター副センター長松浦 浩 (マツウラ ヒロシ)

平成2年医学部卒業

認定資格

・日本泌尿器科学会専門医/指導医

ロボット手術センター副センター長神田 英輝 (カンダ ヒデキ)

平成9年医学部卒業

認定資格

・日本泌尿器科学会専門医/指導医
・日本泌尿器内視鏡学会認定医・泌尿器ロボット支援手術プロテクター
・Da Vinci Certificate 取得

ご予約・ご紹介

 治療希望の方は担当医と相談してください。

患者のみなさまへ

 手術が必要となるすべての疾患で、ロボット支援手術が行えるわけではありません。

 対応可能な手術・疾患の詳細につきましては各診療科・担当医にお問い合わせください。

地域かかりつけ医の先生方へ

 対応可能な手術・疾患の詳細につきましては各診療科にお問い合わせください。