膝関節外来
外来内容
特長
主に関節鏡を用いるスポーツ整形外科では膝の十字靱帯損傷、半月板損傷、反復性膝蓋骨脱臼などの治療を行っており、軟骨に対しては自家骨軟骨柱移植、自家培養軟骨移植などを行っています。
変形性関節症に対しては関節を温存する骨切り術、関節を金属やポリエチレンで出来た人工物に置き換える人工関節置換術を多数行っております。いずれも専門的な治療となりますので、まずはかかりつけの整形外科クリニック等で相談していただき、紹介状を携えて受診していただきますようお願い致します。
さて、軟骨はすべての年齢層において、膝関節機能にとって重要な役割を占めております。軟骨面をインプラントで置き換える人工関節置換術を当科では専門的に多数の手術を行っておりますが、関節自体を温存し機能改善する治療も積極的に行っております。
特に、特筆すべきは整形外科分野では、いち早く保険医療による再生医療が可能となっており、平成25年4月より自家培養軟骨移植術が開始となりました。
また令和3年2月、県下で先がけて膝3D-MRIを導入しました。これは、当院の3T MRIで撮影したデータをAIで処理するもので、軟骨の厚み、半月板の形態を評価できます。
自家培養軟骨移植について
「軟骨(なんこつ)」 とよく耳にしますが軟骨にはいくつかの種類があります。その中の1つである関節軟骨は、「硝子(しょうし)軟骨」という軟骨でできており、血行がないため一度損傷すると自己修復が行なわれず元に戻る事がないのが現実です。
その為、ひどく軟骨を損傷すると活動性を落とさざるを得なかったり、早い時期から変形性関節症になってしまうことがあります。変形性関節症になるのを遅らせようと治療を行っても、最後は人工関節に置換せざるを得ない場合もありました。
ところが、平成25年4月より整形外科領域では初めての再生医療となる「培養軟骨移植術」が、保険適応で行なえる事となりました。これは、自らの軟骨を少量採取し、工場で培養により増やしてから、自らの関節に移植するものです。しかしながら、新しい治療法である為、実績が少なく、保険適応には数々の制限がかかっています。
まず第一に、保険治療の適応は、「膝関節における外傷性軟骨欠損症及び離断性骨軟骨炎による4㎠以上の軟骨欠損部位への移植で、変形性膝関節症を除く」となっており、「軟骨を損傷してからあまり時間がたっておらず、まだ変形性関節症になっていない方」が適応となります。
第二に、治療する為には病院の施設認定が必要で、「関節軟骨修復術を含む骨切り術、関節鏡下靱帯再建術、半月板手術、人工膝関節置換術等の膝関節手術の実績等」を問われます。当院の整形外科は、これらをクリアしており、平成25年8月末に東海北陸地域では一番目に認定を受けました。平成25年11月第1例目を行い、現在まで28例に対し施行しており、通算症例数で全国7位です。
手術の流れとしては、まず関節鏡による診断の確定と手術適応の判断を行ないます。培養軟骨移植による治療が決定された場合、牛アレルギーが無いか4週間かけて検査を行ないます。これは培養には牛のコラーゲンを使用するためです。次に、関節鏡を用い膝から軟骨を0.4g採取します。採取した軟骨は、工場で4週間かけて培養し、その後、病院において軟骨欠損部への移植が行なわれます。
今後、症例数が増え安定した治療実績が確立されれば、治療の適応範囲も増えていくと思われます。スポーツで外傷を負ってから関節に水がたまるなど、軟骨損傷の不安のある方は、かかりつけ医でMRIなどの診断を受け、当院の整形外科へ来院いただきますようお願いいたします。
対象となる方
- スポーツで外傷を負ってから関節に水が溜まるなど、軟骨損傷の不安のある方
- 膝関節における外傷性軟骨欠損症または離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)の方
- その他、膝関節に痛みがある方
上記のような症状に対して、小児から青年、壮年、高齢者まで幅広く膝関節に対する専門的な治療を提供していますが、いずれも専門的な治療となりますので、まずはかかりつけの整形外科クリニック等で相談していただき、紹介状を携えて受診していただきますようお願い致します。
開設日・担当医
開設日
月曜、火曜日午前。初診は月曜の北尾医師の紹介診となっております。