臨床研修センター
センター長 古橋 一壽
当院は、医師、看護師、医療技術者、救急救命士の実習病院として実習生を受け入れ、地域医療を担う人材育成に取り組んでおります。
臨床研修センター設立当初は、臨床研究と研修の2つの役割がありましたが、より効果的な人材育成を行うため、2019年4月から研究センターが新たに開設され、臨床研究については研究センターが担うこととなりました。
当臨床研修センターの1番の目的は、初期研修医の確保、指導です。2018年からは新専門医制度が始まりましたので、それに伴って後期研修医として当院に残る医師も増えてきておりました。そのため、初期研修医の指導としましては、後期研修に繫がる一貫した研修、将来のビジョンが描ける研修ができるよう心掛けています。
また、当臨床研修センターの今後の大きなビジョンとして、医師だけではなく、看護師やコメディカル等も含めた病院全体のレベルアップに繋がるような研修体制をとっていければと考えております。もちろん、医師や看護師など職種により、分野が異なりますので、まずは病院全体として、キャリアの共通点を持つことや病院への愛着を持ってもらうことに協力できればと考えています。
当院は北勢地域のがん、脳疾患、心臓疾患、成人病、周産期(産科・小児科)などの分野を担っておりますので、これらの領域については、重点的に研修を行うことができます。
それに加えて北勢地域の中でも少ない呼吸器疾患や消化器疾患、また北勢地域は子どもが比較的多いので一般小児や小児外科などの研修も行うことができますので、1つの病院で多くの領域の経験が出来るのも当院の臨床研修プログラムの大きな特色です。
当院の臨床研修1年目は、内科中心の研修を実施し、患者さんの診察、カルテ記載、病棟でのナースへの指示、患者さんへの説明の仕方など、医師としての基礎業務を学んでもらうことに力を入れております。
また、他病院に比べて明らかに異なっているのは小児科と麻酔科において2ヵ月研修を勧めているところです。通常は1ヶ月研修としている病院が多いですが、当院では2ヶ月間の研修をすることで、小児科では子ども対するアプローチが非常に上達し、麻酔科では気道確保や救急外来での基本処置なども行うことができますので、外科系、産婦人科、小児科に進む方が必要な基本的な麻酔技術を十分身に付けることができます。特に外科系は他の病院より多くの症例経験を積むことができると思います。
当院は救命救急センターも併設されておりますので、内科外科すべての救急研修が救命救急センターの専属医をはじめ内科・外科医師の指導の下、受けることができます。特に、2017年頃から救命救急センター専属医による指導体制が確立されてきましたので、実習も充実してきました。
また、三次救急の受け入れを行っておりますので、臓器移植や小児の心臓手術以外の大半の疾患に対して当院で手術を行っております。最近では移植のドナー摘出手術も数例実施し、希望した臨床研修医には見学してもらいました。
当院では研修医の受け入れ人数を10~11名程度に定めることで、指導医の目が届き、各研修医に十分な症例数が確保できるような研修体制を心掛けております。また、月々の勤務時間をしっかりチェックしたり、当直明けは速やかに帰れるように協力したりするため、研修医が意見を言いにくいのではないかという場合や、重症の患者さんへの対応が続き疲れた表情をしている場合などは私たちが「この頃どう?」と積極的に声を掛けるようにしています。
また、初期研修医は1年半の間に、今後の方向性を決める必要がある為、まずは自分が希望する分野やなりたい医師像をイメージ・意識できるよう、毎月希望者に集まってもらう場を設けたり、声を掛けたりと私たちと接する機会を多くするようにしています。
後期研修医は基本的に専門医プログラムに従い、自分の専門分野ごとに各研修医が求めるキャリアを実現できるよう私たちも最大限サポートしています。
初期研修後の進路は、診療科やコースによって異なりますが、小児科や産婦人科を目指すコースでは、初期研修後は一度他の病院へ出て再び戻ってくるケースが多いです。
また、外科系は初期研修終了後にもう1年当院で研修し、それぞれのプログラムに入っていくことが多いです。
私個人の希望として、この2年の初期研修においてまずは「自分で学び、自分で考えることができる医師」になって欲しいと願っています。学生や研修医の間は与えられることが多いですが、今後2025年をピークに患者数が減少し、医師が余ってくる可能性もありますので、そこに向けて自分で考え、医師過剰の時代で生き残っていける知識や技能を自分で身に着けることができる医師になることがとても重要になると思います。
初期研修は、「与えられる学生」から「自分で考える医師」になる大切な移行期ですので、自分が指示を出すこと、自分が手術や処置をすること、説明することなど、実習では行わないことを覚えて欲しい。また、自分の進路を決める時期でもあるので、適性など自分で考えながら実習して欲しいと思います。
まず、採用試験を受けるにあたっては当院への病院見学・実習に参加された方が対象になっております。筆記試験はありませんが、MMCの合同面接会で10分程度の面接試験を実施しています。面接試験や提出書類、病院見学・実習の様子から、採用を決めています。
また、採用条件は法人の正規職員での採用となります。正規職員となりますので、有休や病気やケガで休んだ場合の賃金の保証があります。
将来の方向性がまだ決まっていないのであれば、まずはなりたいと思える診療科がある病院を選んで下さい。どの病院で研修をしたいかを考える際には、自分で1回候補の病院を見に行き、そこで働いている学年の近い研修医や仲の良い先輩など素直に教えてもらえる人によく話を聞き、働いている様子を見て考えるのが一番良いと思います。
当院は診療科が多く色々なことができますので、是非来てください。特に救急に関しては、自分1人で診ることはなく、初期研修医のうちは必ず1年上の研修医がついて、最終的には上級医が確認するという体制で研修しております。また、救急の専門医も研修で指導しますので、初期研修医が一番不安に感じやすい救急の指導体制は十分とれていると思います。
また、当院は横へのつながりもよく取れているので、コメディカルも含めたコンサルテーションが非常にしやすい環境です。また、現在は初期研修を当院で受けた多くの後期研修医が残っているので、2年目の初期研修医も困ったときに相談しやすい体制になっています。
当院での研修をお考えの医学生のみなさまは、是非とも病院見学に来ていただければと思います。
ともに三重県の医療をリードしていきましょう。
▶︎インタビュー・撮影/2018年11月30日