院長令和4年度当初インタビュー

 当院の理事長・病院長である新保秀人の年度当初インタビューを掲載しています。

コロナ禍の役割全うを目指して

 当院では、コロナ禍において、重症者受け入れ病床を確保するため、救命センターの改修工事を行うなどの重症者対応や妊産婦の受入れを行ってきました。第5波が到来した令和3年8月から9月は重症者数が大変増加し、重症者病床の稼働率は平均93.6%、この期間の約半分は同稼働率が100%以上となりました。このような状況においても、同期間中の当院でのコロナによる死亡率は0%であり、これは呼吸療法の工夫(ハイフローセラピー)などが功を奏したのではないかと思います。

 しかし、令和3年度は課題も残る1年でした。近隣病院の救急対応が停止したこともあり、当院への救急要請は通常の2倍程度まで膨らみましたが、コロナ陽性者を含んだ救急要請は対応に時間がかかるため受け入れを断らざるを得ない状況が多く発生しました。そのため応需率(※)は低下してしまいました。

 また、第6波到来時には、救急要請におけるコロナ陽性者がさらに増え、小児患者も多く救急小児対応の必要性を強く感じました。

※応需率…救急車受入要請のうち何台受入れができたのか、その割合を表すもの。

第二期中期計画を振り返る

 第二期中期計画期間(平成29年度~令和3年度)の5年間は、計画的な職員採用・施設改修・薬剤業務向上・接遇工場などを目標に掲げ、病院の運営を行いました。

 例えば、施設改修では、経済産業省の先進的省エネルギー投資促進支援事業(ESCO関連事業※)の採択により電源機器更新を行い、大幅な経費削減ができました。

 また、薬剤部においては、薬剤部員の頑張りにより、服薬指導件数の増加につなげることができました。

 この他にも、接遇面で職員一人ひとりが真心のこもった接遇を意識する組織風土作りを行いました。

※ESCO関連事業…省エネルギー改修にかかる全ての経費を光熱水費の削減分で賄う事業。令和3年度採択された公共施設は全国で2件のみ。

安心できる医療の提供を行うための設備投資

 第3期中期計画(令和4年度~8年度)では、4つの診療科(泌尿器科・消化器外科・呼吸器外科・婦人科)でのロボット手術件数が、3年連続で増加傾向であったことから手術室の増設を計画しています。

 またコロナ陽性の妊産婦の受入れは、県内では当院を含めて2つの病院で対応していたため対応の難しさも経験しました。このようなコロナ陽性の妊産婦の受け入れのため感染対策に有効な陰圧手術室の増設も予定しています。

 さらに、放射線治療装置(リニアック)の更新や建物の長寿命化を促進する設備投資などを行い、安心できる医療を提供していきます。

体制変化によりさらなる活躍を期待

 令和4年度は診療体制が変わる部署がいくつかあります。看護部では長年に渡り看護師の育成に力を注いできた看護部長が令和3年度末で定年を迎えました。当院の看護師の離職率は非常に低く、看護部長の交代後も引き続き看護職員育成に取り組んでもらいたいと思っています。

 次に救命救急センターでは、令和3年度は私が代理としてセンター長を務めていましたが、この度新たにセンター長を任命する運びとなりました。新たなセンター長のもと、集中治療や救急体制のさらなる充実を図ってくれると期待しています。

 また、産婦人科も人事異動や増員を行い、ロボット手術を再開しております。

地域の皆様へのメッセージ

 令和4年度は診療体制の変更もあり、各部署のさらなる活躍が期待されます。コロナ禍で不安を感じられる方も多いかとは思いますが、設備投資などにより十分な感染症対策を行っていますので、必要な受信をお願いいたします。

 今後も安全・安心でお互いに支えあう社会の実現に向けて医療面から積極的に貢献していく所存ですので、引き続きご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

 

【インタビュー・撮影/2022年4月4日(月)】

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