院長年度当初インタビュー

 当院の理事長・病院長である新保秀人の年度当初インタビューを掲載しています。
理事長兼病院長
新保秀人

 昨年度を振り返ると、新型コロナウイルス感染症の第8波の影響もありましたが、職員が頑張ってくれたおかげで、休止病棟も出さずに医療提供を続けることができました。コロナ禍前の入院数にはまだ戻っておりませんが、手術件数も増加傾向にあり、アフターコロナの兆しを感じています。それらを踏まえて今年度の病院運営に取り組んでまいります。

令和4年度末~令和5年度にかけての主な当院の動き

■ 災害時等における相互支援協定の締結

■ 感染症内科の新設

■ 腎臓内科の診療開始

■ 放射線治療医の常勤配置

■ 人事異動によるリハビリテーション室・中央検査部の体制強化

■ 骨密度測定の開始

■ 電子カルテパソコンの更新

すべての職員が 働きやすい職場づくりを目指して

 今年度は医師9名、助産師・看護師31名を含む58名が、新たに職員として当院に加わりました。ありがたいことに、当院は若い職員も多く、活躍の場が広がっています。それとともに、当院は「女性が働きやすい医療機関」として三重県から認証を受けています。常勤看護師の約半数が20代で、看護師の育児休暇後の復職率は過去11年間で99%を達成しています。

 昨年度は男性を含む約70名が育児休暇を取得していますので、男女共同参画の面においても、働きやすい職場を確立できているところです。

「女性が働きやすい医療機関」 認証制度について

令和5年3月13日
三重県庁にて
左 新保院長
右 一見知事

 三重県において、女性が働きやすい勤務環境づくりを促進し、ひいては男性職員にとっても働きやすい職場を実現するため、平成27年度に全国に先駆けて創設されています。当院は令和元年度に初めて認証され、この度、再認証されました。
( 再認証期間 令和5年4月1日~令和8年3月31日 )

災害時等における相互支援協定の締結

令和5年3月22日 岐阜県総合医療センターにて
左:三重県立総合医療センター 新保 院長
右:岐阜県総合医療センター 桑原 院長

 当院は三重県唯一の基幹災害拠点病院であり、災害医療の中心として活動することが求められています。大規模な災害が発生し、物流がストップしてしまった時でも、基幹災害拠点病院としての役割を果たすため、岐阜県総合医療センターと災害時等における相互支援協定を令和5年3月に締結いたしました。
 関西地域では府県が参加する関西広域連合で災害時等においての備えなどをされていますが、基幹災害拠点病院同士が直接締結する協定は全国的にも先進的な取り組みではないかと思っています。
 三重県はいつ大規模な災害が起きてもおかしくないと言われる地域です。同じ災害で大きな影響が出る可能性が低い他県の病院と連携することで、医療資源不足などが発生しないように備えたいと思います。万が一の時がいつになるかはわかりませんが、今回の締結により顔が見える関係性を構築することができました。

「災害時等における病院間の相互支援に関する協定」

 大地震や台風等の大規模な災害等発生時、医療活動を継続し、適切な医療を提供するため、右の必要な物資の支援を行います。

・診療材料
・医薬品
・備蓄食料
・その他、特に支援要請があったもの

感染症内科の新設

 令和5年4月1日に三重県内で3番目、北勢地区で初の感染症内科を設置しました。従来も、新型コロナウイルス・HIV・肝炎ウイルスなどの各種感染症に対する診療を総合内科の感染症外来において行ってきましたが、昨今の感染症に関する注目の高まりの中で、当院の役割が一層増大しているものと考え、独立した診療科として設置しました。

 当院はエイズの治療拠点病院でもあり、感染症内科を新設したことによって、地域の方々の安心や速やかな医療サービスの提供につなげてまいります。

放射線治療医の常勤配置と施設整備の拡充

 これまで非常勤医師で診療していた放射線治療科に、4月から常勤医師を配置しました。

 来年には現在建設中の新棟の運用や、新たな放射線治療機器の導入も予定しており、これまで当院ではできなかった治療も提供できるようになります。

 新棟には手術室も2室(うち1室が陰圧手術室)備えており、現在の8室に加えると全10室になり、手術対応件数が増加いたします。診療圏の医療需要のピークが見込まれる2040年に対応できるよう、今後とも設備を整えてまいります。

目指すべき方向性と目標

さらなる安心・安全な医療提供の実現に向けて、当院では、まず大きな2つの方向性を掲げています。

1.医療の価値を高める

 日本の医療課題を考えると、必ず「医師不足」「医師の過重労働」など医師の過重負担についての問題があがります。医師も1人の人間であり、負担が一極に集中してしまうことは、継続的な医療提供の危機にもつながります。正しく医療の価値を高めて、医師の働き方改革を目指します。

2.ブランド力を高める

 仕事をする人は誰しも、良い職場で働きたいと願っているのではないでしょうか。病院のブランド力を高めることで、職員が働きやすい職場を提供することができ、適切な評価を受けられることにつながると考えています。
 この方向性に向かって、今年度は具体的に以下の3つの目標に取り組んでまいります。

1. 経営改善

過去2年間も十分な結果を出していますが、アフターコロナを見据えて、着実な病院経営を行ってまいります。

2. 接遇改善

設備改善を進めてきたおかげで、患者様アンケートに寄せられるご意見が数年前とは変わってきました。医師、看護師、事務員などすべての職員が接遇を念頭に置いて業務に取り組んでまいります。

3. 職員満足度向上

患者様アンケートと同様に、職員にも毎年アンケートを行い、様々な意見が寄せられます。まずはどんな声に対しても身軽に動くことができる体制を目指しています。すべての職員が働きやすい職場づくりや、職員の困りごとに対して誠意ある対応ができる病院を目指してまいります。

 

 

 今年度は、診療科の新設や設備の拡充など、新しい取り組みに大きな期待を抱いています。今後も安心・安全で、お互いに支え合う社会の実現に向けて、医療面から積極的に貢献していく所存ですので、引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

【インタビュー・撮影/2023年4月4日(火)】

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